史上初、開学50周年飾る快挙

第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の往路が2日に行われ、4度目の出場となった創価大学が5時間28分8秒で、同校初となる「往路優勝」を果たした。
〈号外〉創大スポーツ「往路優勝!4回目の出場で快挙!!」
箱根初出場から6年の時を経て、「1月2日」につかんだ栄冠! 目標の「総合3位」、さらにそれを上回る成績へ、あすの復路に向けて最高の流れをつくった。

午前8時。大手町の読売新聞社前で、全21チームによる5区間107・5キロのタスキリレーの号砲が鳴った。
創価大学の1区を託されたのは、福田悠一選手(4年)。同校の1万メートルと5000メートルの日本人歴代記録を更新したエースは終始、安定感のある落ち着いた走りを見せる。
序盤は選手たちが互いにけん制し合い、史上まれに見るスローペースの展開に。「何度も前に出ようとした」という福田選手だったが、「終盤が勝負所になる」とレースを冷静に見極め、我慢の走りで“時”を待った。
その狙い通り、残り3キロ付近の六郷橋からスパートをかけた他大学に競り勝ち、「区間5位以内」の目標を上回る3位で鶴見中継所に飛び込んだ。
「90点の走りです。満足しています」と福田選手。この日本人エースが生んだ勢いを、「花の2区」でケニア人留学生のフィリップ・ムルワ選手(2年)が加速させた。

7キロ手前で、後方から追い上げてきた東京国際大学の留学生に、ぴったりと張り付く。そして10キロ付近で、そのままそろって先頭に立った。
初出場ながら、中盤までトップ争いを演じる力走。区間6位で、1区からの“勝利の流れ”を3区の葛西潤選手(2年)に託した。

序盤は前を走る東海大学に差を広げられ、駒澤大学からの追い上げもあった。しかし、「臆することなく、良いリズムで走れた」と語る葛西選手は、後続を突き放し、力強い走りを見せる。
16・3キロ付近で2位に順位を上げると、先頭との差を34秒に縮める快走で、4区の嶋津雄大選手(3年)にタスキをつないだ。
区間3位でレースを終えた葛西選手は「自分の仕事ができたと思う。後を走る選手には自信を持って走ってほしい」と笑顔で。

続く嶋津選手は、10区の区間新記録をたたき出した前回大会の勢いを彷彿させる激走を見せる。
「2位でタスキを受け、1位の大学が見えて気持ちが高まった」と、5・5キロ過ぎで先頭の東海大学をとらえ、ついに創価大学が逆転。残り1キロ付近、左太ももをたたきながら苦しい表情を見せるも、粘りの走りで2位以下との差を広げ、トップで小田原中継所に入った。
区間2位の大健闘。「初心に戻って素直に競技に向き合えた一年間だった」と、これまでの歩みを振り返りつつ、「チームメートや周囲の支えがあって、ここまで来ることができました」と会心の笑みを浮かべた。

トップでタスキを受けたのは、5区・三上雄太選手(3年)だ。後を追う東洋大学の選手は、前回大会で5区の区間新記録を更新している。
だが、三上選手は昨秋、“仮想箱根5区”の大会「激坂最速王決定戦2020」で優勝し、山上りへの自信を深めていた。
焦らずに走ることを意識し、首位を独走。終盤の下り坂は「脚が動かなくなるくらい、つらかった」と振り返るが、最後まで力強い走りを見せ、史上19校目となる「往路優勝」のゴールテープを切った。

往路を終えた榎木和貴監督は「予想以上の走りをしてくれた選手たちを頼もしく思います」と。そして、復路に向けての意気込みを語った。
「先頭を走る喜びを楽しみながら、他の大学とのタイム差は意識せず、自分たちの100パーセントの力を出し切ることに集中したい」
復路は、あす3日午前8時にスタートする。
2位・東洋大学との差は2分14秒。開学50周年の佳節を飾った創価大学のさらなる力走に期待したい。

なお、主催する関東学生陸上競技連盟は、新型コロナウイルスの感染防止対策として、引き続き「沿道での応援・観戦自粛」を呼び掛けている。

