〈紙上教学研さん 御書根本の大道〉第7回 躍り出よ

 「御書根本の大道 池田大作先生の講義に学ぶ」の第7回のテーマは「躍り出よ」。岡本総大阪長の担当で、『人間革命の宗教』を研さんします。

種々御振舞御書

法華経の肝心、諸仏の眼目たる妙法蓮華経の五字、末法の始めに一閻浮提にひろまらせ給うべき瑞相に、日蓮さきがけしたり。
 わとうども二陣三陣つづきて、迦葉・阿難にも勝れ、天台・伝教にもこえよかし。
(新1227・全910)

勇気の指標

 「世界広宣流布」は御本仏の御遺命です。その遠大なる使命を、後に続く門下に託されているのです。
 広宣流布とは、末法万年にわたり、しかも一閻浮提、すなわち全世界の人々を救いゆくものです。そのためには、大聖人の精神と実践を受け継ぐ弟子が、絶え間なく続いていかなくてはならない。広宣流布を断絶させてはならない、というのが仏の願いだからです。


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 御聖訓には、「地涌の菩薩のさきがけ日蓮一人なり」(全1359・新1790)とも御断言です。日蓮仏法の魂は、「さきがけ」の勇気です。「二陣」「三陣」と続くためには、自らが一人立つ覚悟がなければ、本当の意味で後を継ぐことはできません。
 ゆえに、まず自分が、決然と立ち上がることです。思い切って行動を起こすことです。先陣の苦労は大きい。しかし、その分、大きく人間革命できるのです。一人の「法華経の行者」が行動を起こせば、周囲の人が二人・三人・十人と目覚めていく。真剣の一人の戦いが、必ず新たな歴史を作るのです。
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 大聖人に直結する我らは、いよいよ「二陣、三陣」と、人類が渇仰してやまない平和と人道の大哲理を、勇気凜々と語り弘めていこうではありませんか!

第17回世界青年平和文化祭のフィナーレ(池田先生撮影。1997年11月、大阪ドーム〈当時〉で)。先生は関西の友をたたえ、語った。「圧迫が大きければ大きいほど、新しい力をみなぎらせ、無限のエネルギーを沸き立たせていく。これが『関西魂』である」「民衆が『希望と勇気』に燃えて進める新世紀を、青年が開いていただきたい」

師弟の陣列 二陣三陣と!

岡本利明 総大阪長

 今、大阪は「励ましの大阪」「座談会の大阪」とのモットーを掲げ、絆を結ぶ中で、青年部から錦宝会(多宝会)の先輩まで、正役職の方も副役職の方も、一人また一人と人間革命の新たな大前進を開始しています。特に壮年部では、太陽会をはじめ各グループの友も意気高く、あらゆる垣根を越えた“総合力”で、総立ちになっています。
 今回、「種々御振舞御書」の一節を拝します。“弟子たちよ広宣流布へ、二陣三陣と、勇猛果敢に躍り出よ!”との大聖人の師子吼を命に刻んでいきたいと思います。

音を立てて

 池田先生は、今回学ぶ一節について、『人間革命の宗教』の中で、「一人の『法華経の行者』が行動を起こせば、周囲の人が二人・三人・十人と目覚めていく」と講義されています。
 この御文を拝し、思い起こすのは、1997年(平成9年)11月、大阪ドーム(当時)で行われた第17回世界青年平和文化祭です。
 当時は阪神・淡路大震災から2年。また、学会を狙い撃とうとする権力の魔性が牙をむいていました。復興への歩みと、障魔の逆風の中で行われた文化祭。当日、5万人が乱舞する大舞台をご覧になった池田先生は、次なる勝利へ出発する集いで、「今、関西から音を立ててスタートした」とたたえてくださいました。
 本番を目指し、関西では、100万の正義の連帯構築へ奔走。関西男子部長だった私は、各地を駆け巡る中で、一人、また一人と人間革命に立ち上がっていく姿を幾度も目の当たりにし、感動の連続でした。その裏には、触発と励ましのドラマがありました。
 “皆が勝利の実証を示してこそ、文化祭は大成功と言えるのや!”と励まし合い、執念で弘教を実らせた友。「頑張りや!」とわが地区の青年を朗らかに励まし、“あの時も、こうやって先生にお応えしたんや”と、自らの師弟の原点を語り継いだ壮年部・婦人部(当時)の先輩。
 広布拡大の爆発的な戦いと、立場も年齢も超えた励ましの渦の中で、関西中に師弟の魂が継承され、脈動し、まさに“音を立てる”ように、二人・三人・十人と地涌の使命に目覚めていったのです。この年、関西は圧倒的な弘教・拡大を達成。あらゆる烈風をはね返し、新たな時代の幕を開きました。
 私自身も関西家族に育てていただいた一人です。学会員の両親のもとに生まれたものの、貧乏や病気を抱える家族の姿に、高校時代まで信心に反発する思いもありました。
 受験を控えた高校3年の時、私の成長を願い、励ましてくださる地域の同志の真心に胸を打たれ、発心。両親の勧めもあり、創価大学へ進学し、池田先生との原点を築くことができたのです。その後も、大阪の各地で、師匠と共に生きる常勝の魂を教えていただきました。

信心しきった者が勝つ

 一人一人が先生と直結している。訪問・激励に力を入れる中で改めて気付いたのも、この点です。
 特に歴戦の先輩の皆さまのもとを訪れると、あの「大阪の戦い」をはじめ、池田先生と広布の歩みを重ねた様子を誇らしげに教えてくださいます。「私も1万1111世帯の中の一人ですわ!」「あの時、会合の役員をしていて、先生がすぐそばを通られたんです!」と。当時の記憶がよみがえってくるのでしょう。語るにつれて頬が紅潮し、まるで当時に戻ったかのように、生き生きと話される姿を見て、こちらも元気になります。
 なぜ関西は常勝なのか――。
 それは、草創以来、一人一人の胸中に、“わてらのセンセ”がいる。厳然と師匠がいらっしゃるからこそ、地涌の底力を無限に発揮できるのだと確信します。
 その師弟不二の精神は、大阪のあの地でも、この地でも生き生きと語り継がれています。そして、この「3・16」を見事な弘教拡大で勝ち飾った青年部へと受け継がれています。
 本年は世界青年平和文化祭から25周年です。先生は当時、「不思議にも、広宣流布の飛躍の時は、常に、わが関西が大舞台となる」とも語ってくださいました。
 コロナ禍をはじめ、混迷する社会情勢の中で迎える関西広布70周年。7月には「大阪大会」から65周年を刻みます。
 “最後は、信心しきった者が必ず勝つ!”――この師匠の師子吼を胸に、今再び、一人一人が総立ちとなって、二陣・三陣と打って出る時です。“総合力”を発揮し、先生の手作りの大阪、関西から、立正安国の勝利へ。“私の飛躍”から、新たな師弟勝利の金字塔を打ち立てていこうではありませんか!

メモ

 「種々御振舞御書」は、建治2年(1276年)の御述作とされているが、詳細は不明。文永5年(1268年)から建治2年まで、約9年間にわたる日蓮大聖人の御闘争について述べられている。