今月16日、東西の創価学園で卒業式が晴れやかに行われた。創立者の池田先生は、「コロナ禍をはじめ、かつてない試練を凜然と勝ち越えてくれた、わが卒業生の皆さん、誉れ高き凱歌の門出、誠におめでとう!」とメッセージを贈り、卒業生を祝福した。今回の「創価学園NAVI」は「友情物語」と題して、コロナ禍の中、青春の絆を結んだ、東西学園の卒業生たちのドラマを紹介する。
関西創価高校 仲間を思うと何倍も力が出る

関西創価高校の硬式野球部は昨年の夏、全国高校野球選手権大会の大阪大会で準決勝に進出。全国屈指の激戦区でノーシードから6勝し、6年ぶりのベスト4に輝いた。
主将を務めた崎坂俊介さんは語る。

「同期の20人が誰一人欠けることなく、団結して、勝ち取った結果です。特に廣田がいなければ、この歴史を刻めなかったと思います」
――昨年の6月、夏直前の練習試合。関西創価は、勝てるはずの試合に敗れた。ほんの少しのミスが原因だった。試合後、チームの集まりで、最初に口を開いたのは、レギュラー選手でなく、控え選手でもない“ベンチ外”の廣田正樹さんだった。
「俺はずっと見てきたから、みんながもっとできるって分かる。もう情けない試合すんのやめようや!」
おえつしながらの訴えだった。
廣田さんは入部してからの約2年半、いつも朝早くグラウンドに来て、練習した。勉強にも励み、委員会の活動などにも率先して取り組んだ。


“甲子園出場を果たして、創立者や支えてくれた家族に喜んでもらいたい”と全てに挑戦した。
しかし、廣田さんは悩んだ。どれだけ練習しても、実力が追いつかない。
悔しい。情けない。それでも“絶対に負けない”と必死で、もがいた。
その努力を部員全員が知っていた。だからこそ、廣田さんの“涙の訴え”は、皆の心に響いた。
2年からレギュラーだった橘脩耶さんは振り返る。

「廣田が叫んでくれた時、皆が“絶対、変わりたい!”と思ったんです。それ以降、練習で少しでもミスがあれば、その場で集まり、皆でみっちり確認し合っていったんです」
そして、怒濤の快進撃が始まる。


大阪大会の初戦は、プロ注目のピッチャーが所属する強豪校との試合。八回に勝ち越し、九回表に3点を加え、5対1で勝利した。
勢いに乗った関西創価は次々と勝ち上がり、準決勝へ。対戦相手は全国制覇の経験もある履正社高校。2点を許すが、六回裏、崎坂さんの執念のヒットで同点に。橘さんも二塁手として好守を見せる。廣田さんは観客席から懸命に応援した。
結果は2対3。あと一歩届かなかったものの、試合後、同期全員で固く抱き合い、健闘をたたえた。
夏を終えた後も、部員たちはそれぞれの場所で、勉強や委員会活動など、学園建設に励んだ。

崎坂さんと橘さんは語る。
「引退後、燃え尽きるかなって思ったんですが、廣田は一生懸命、練習に励みながら、2年の終わりから生徒会長を務めてて」「“こりゃ、俺たちももっと学校に貢献していかな”ってね(笑)」
廣田さんも野球部の仲間の存在が、原動力になっていた。コロナ禍で練習時間が制限される中、皆がそれぞれ努力を重ねる姿を、廣田さんはじっと見てきた。その姿に勇気が湧いた。
廣田さんは目を輝かせる。

「友を思えば、自分では思ってもみない何倍もの力が出ることを知りました。これから、この仲間で野球をする機会は少なくなってしまうけれど、結んだ同期の絆を大切にして、もっと友情を広げながら、野球部で学んだ“どんな時も諦めない生き方”を貫いていきます」

ガウンを身にまとい卒業式の会場に向かう廣田さん㊥、崎坂さん㊧、橘さん。廣田さんは「野球部の同期20人は家族のような存在」と
※創価学園NAVIのバックナンバーが無料で読めます(会員登録は不要です)
https://www.seikyoonline.com/rensaimatome/gakuennavi.html


