〈出雲駅伝〉創価大学が力走 新たな歴史築く堂々の6位

6位でフィニッシュテープを切ったアンカー・嶋津選手。創大駅伝部は昨年の7位を上回る力走で、新たな歴史を築いた(出雲ドーム前で)

 「大学三大駅伝」が開幕! 第34回「出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)」が10日、島根・出雲市内で行われ、出雲大社正面鳥居前から出雲ドーム前までの6区間45・1キロのコースに20チームが参加した。
 
 2年連続2度目の出場となった創価大学は2時間10分52秒で6位に入賞。3区のフィリップ・ムルワ選手(4年)が区間新記録を出し、2年連続の区間賞に輝いた。

1区・新家選手(手前)がスタート地点の出雲大社正面鳥居前から力強く出走。3年ぶりに沿道での応援が解禁となり、観衆から盛んな拍手が送られた

ムルワ選手が3区で区間新記録

 レース前、各大学の監督は異口同音に語っていた。「今回は前半がポイントになる」と。
 
 三大駅伝の中で最も距離が短く、レース展開の速さから“スピード駅伝”とも称される出雲駅伝。今年は前半区間で“強い追い風”が吹き、例年以上に高速レースになることが想定され、1区から3区の走りで勝負が決まると見られていた。
 
 前日に雨が降り、当日午前中は厚い雲に覆われていた出雲市。だが、レース開始が近づくと、雲間から陽光が差し込み、肌寒かった気温は平年並みとなる20度にまで上昇した。
 
 選手たちの走りを左右する風は、予想を超える強さだ。
 
 午後1時5分、多くの観衆の拍手に包まれながら、スタートの号砲が鳴り響いた。
 
 1区は新家裕太郎選手(4年)が出走。先頭が区間新記録に迫るハイペースのレース展開の中、最後まで粘り抜き、10位で2区・葛西潤選手(同)へ。

区間5位で走った2区・葛西選手(中央)。これまでの区間記録を上回る力走だった

 葛西選手は故障明けの影響を感じさせない走りで、従来の区間記録を2秒上回る区間5位と力走。順位を三つ上げ、7位で3区のムルワ選手につないだ。

2区・葛西選手(右から3人目)が順位を10位から7位に上げ、3区・ムルワ選手(同2人目)にタスキリレー(第2中継所・ゆめタウン斐川前で)

 3区は各大学の主力が並ぶ注目区間。ムルワ選手は昨年、同区間で区間賞を獲得している。
 
 その自信を胸に、序盤から積極的に攻め、上位校を猛追するムルワ選手。前を行く2校を追い抜き、さらに4区の中継所目前で4位に1秒差に迫る執念の走りを見せ、チームを5位に押し上げた。3区の区間記録を10秒更新する快走だった。

3区・ムルワ選手が区間新記録で2年連続の区間賞に輝いた

 4区・石丸惇那選手(1年)は初の出雲路にも臆することなく、区間7位をマーク。今大会、チーム唯一の1年生が走り終えた時点で、創価大学は目標の3位まで45秒差の7位につけた。
 
 続く5区・石井大揮選手(3年)も大学駅伝初挑戦となったが、向かい風に負けない力強い走りで、区間5位と好走。7位をキープし、最終6区・嶋津雄大選手(4年)にタスキを託した。

4区・石丸選手(右から3人目)が粘りの走りで、5区・石井選手(同4人目)にタスキをつないだ(第4中継所・鳶巣コミュニティセンター前で)

 嶋津選手は最長区間の6区に2年連続で出走。アンカーを任された自覚と誇りを胸に、一つでも順位を上げようと懸命に前を追う。区間5位となる“魂の走り”で出雲ドーム前のゴールまで熾烈な順位争いを繰り広げ、6位でフィニッシュテープを切った。
 
 優勝は駒澤大学だった。

最長区間の6区を走り抜いた嶋津選手をチームメイトが出迎える

出雲路で光った創価のチーム力

 今シーズン、「創姿顕心――強さの証明」とのスローガンを掲げて出発した創大駅伝部。三大駅伝の全てで目標を達成することを誓い、選手たちは気象条件や対戦相手の調子などを問わず、「どんな状況でも勝ち切る強さ」を追求してきた。
 
 惜しくも出雲で3位以上に入ることはできなかったが、初出場となった前回の7位を上回る成績で、総合タイムは4分45秒も短縮。新たな歴史を築き、11月の全日本大学駅伝、来年1月の箱根駅伝に弾みをつけた。

熱戦の舞台となった出雲市内。右奥に見える白い建物が大会のゴール地点となった出雲ドーム

 榎木和貴監督は決意を込めて語る。
 
 「順位だけで見ると目標に届かず、悔しい結果です。ただ、ムルワ一人に頼った前回と違い、今回はチーム全員の力で上位争いに絡む走りができたことは自信になったと思います。出雲で走れなかったメンバーも含めて、もう一段、ギアを上げて練習に励み、全日本で3位以上、箱根で総合優勝を目指し、チーム一丸となって頑張っていきます!」

 出雲駅伝終了後、収穫と課題を榎木和貴監督に聞いた。